リアルタイムOSはあなたのビジネスに適していますか?
by Canonical on 22 January 2025
自動化は社会のほぼすべての分野に広がり、自動車や通信から工業生産まで、さまざまな業界でリアルタイムに対応したオペレーティングシステム(OS)が重要になってきています。リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)は、正確で確定的な応答を保証し、安全性とパフォーマンスに不可欠な厳しいタイミング要件を満たします。しかし、ZephyrやFreeRTOSのような従来のRTOSはビジネスにとって正しい選択肢なのでしょうか? それとも、リアルタイム機能を備えたLinuxソリューションの方がもっとニーズに合っているのでしょうか?
Canonicalの最新のホワイトペーパーではこれらの疑問について解説します。このブログではその要点を説明しましょう。
システムを「リアルタイム」にするものとは何か?
リアルタイムシステムは、パフォーマンスそのものよりも、タイミングを優先しており、厳しい時間的制約の中で特定のタスクを処理するように設計されています。全体的なスループットが考慮されている汎用システムとは異なり、リアルタイムシステムでは、すべての動作が定義された制限時間内に予測可能な状態で行われる必要があるため、確定的な結果に重点が置かれます。この確定性は、車両の安全メカニズム、産業向け制御システム、通信インフラストラクチャのようなアプリケーションに不可欠です。次のセクションでは、「ハード」なRTOSやLinuxをリアルタイム機能と比較する際の、いくつかの重要な考慮事項を評価します。詳細な分析は、最新のホワイトペーパーをご覧ください。
RTOSとリアルタイムLinux:重要な考慮事項
RTOSは、制限時間内に動作が完了しないと致命的な障害につながる可能性がある環境向けに設計されています。RTOSはオーバーヘッドが少なく、予測可能なタスクスケジューリングが保証されるため、医療機器や航空宇宙制御システムなどのミッションクリティカルなシナリオに最適です。ただし、高度に専門化されているため、拡張性や柔軟性が制限されます。
リアルタイムLinuxは、特にPREEMPT_RTパッチセットにより、タスクの優先順位付けを改善してレイテンシを短縮することによってLinuxの機能を拡張します。重要性がきわめて高いアプリケーションでは従来のスケジューラーやRTOSのような厳密な確定性を達成できない可能性がありますが、多くのユースケースには十分なリアルタイムパフォーマンスを提供します。このため、リアルタイムの要件と広範な運用ニーズの両方を持つプロジェクトに広く利用できます。
さらに、Linuxのオープンソースの特性は、広範なハードウェア互換性、豊富なデバッグツールスイート、活発な開発者コミュニティを提供します。対照的に、プロプライエタリなRTOSは多くの場合カスタム開発が必要で、堅牢なドライバーインフラストラクチャが不足しており、市場投入までの時間が長くなる可能性があります。
最後に、RTOSの構築と保守には社内にかなりの専門知識が必要です。リアルタイムLinuxソリューションは、多くの場合、長期サポート(LTS)を提供しています。たとえば、リアルタイムUbuntuは最大12年間のサポートを提供します。このため、信頼性、セキュリティ更新、企業の運用コストの削減が保証されます。
ファクトリーオートメーションや産業向け制御機能から、通信インフラストラクチャの低レイテンシまで、時間的な制約を伴うコンピューティングを必要とするワークロードの応答性と確定的動作を確保する必要があります。次のセクションでは、リアルタイムOSがさまざまな業界で時間的制約のあるアプリケーションに対応していることを説明します。
さまざまな業界のユースケース
リアルタイム対応OSは、プロセスオートメーション(エネルギー部門、石油、精製所)やディスクリートオートメーション(自動車製造)など、幅広い業界で利用されています。さらに、医療、工場、通信ネットワーク、自動車、航空などの業種では、多くの場合、リアルタイムコンピューティング機能が必要とされます。リアルタイムシステムは、製品の品質保証、安全性、石油/ガス、オートメーションに厳しい精度が要求される輸送システムなどでも利用されています。いくつかの主な例を紹介します。
自動車
リアルタイムシステムは、アンチロックブレーキシステムや自動運転などの安全機能にとって重要です。従来はRTOSがECUの主流でしたが、Linuxはその拡張性と多様なハードウェアのサポートによって、インフォテインメントやV2X(Vehicle-to-Everything)アプリケーション向けの使用が増えています。
電気通信
通信ネットワークは、5Gインフラストラクチャのようなアプリケーションに対して超低レイテンシを要求します。リアルタイムUbuntuは仮想化無線アクセスネットワーク(vRAN)とOpenRANをサポートしており、効率的なリソース配分と高性能ネットワーク機能を可能にします。
産業オートメーション
工場では、組立ラインと制御システムの管理に確定的コンピューティングを利用しています。リアルタイムUbuntuは、Time Sensitive Networking(TSN)とIntel Time Coordinated Computing(TCC)との組み合わせによって、産業向けアプリケーションに正確な同期を提供します。
適切な選択をする
リアルタイムシステムは、重要な環境における正確で信頼性の高い運用を保証します。これらの技術を効果的に活用することは、パフォーマンスの最適化、コストの削減、市場化期間の短縮に役立ちます。RTOSとリアルタイムLinuxのどちらがユースケースに適しているのかは、具体的な要件によって異なりますが、大まかには次の経験則が当てはまります。
- レイテンシの影響が非常に大きいシステムの場合は、RTOSが最高レベルの一貫性と確定性を提供します。
- 重要度が混在し、リアルタイム機能と幅広いOSの機能の両方が必要である環境では、リアルタイムLinuxとPREEMPT_RTが優れた汎用性とサポート性を提供します。
RTOSとリアルタイムLinuxの詳細、組織に適したオプションの選び方については、ホワイトペーパーの全文をご覧ください。
ニュースレターのサインアップ
関連記事
Canonical、Ubuntu Pro for WSLを発表
Windows環境におけるUbuntu 24.04 LTSのWSLインスタンスにセキュリティメンテナンスとエンタープライズサポートを一括して提供。包括的なシステム管理機能も利用できるサブスクリプションサービス。 Canonicalは本日、Ubuntu Pro for WSLの一般提供を発表しました。Microsoftストアからインストール、ソースコードとベータ版はGitHubからダウンロード可能です。 「CanonicalとMicrosoftは、緊密なパートナーシップを通じてWSLの各種機能を構築しています。この取り組みは、WSLを利用して実運用向けのLinuxソリューションを構築する企業の開発者に有益です。」 Microsoft、WSLプロダクトマネージャー、Craig […]
バックポートでパッケージのサポート終了を回避
2025年7月、Gitは危険度の高い脆弱性「CVE-2025-48384」の報告を受けました。攻撃者がこの脆弱性を悪用すれば、リポジトリのクローンを作成する際に任意のコードを実行できます。米国のサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)は、この脆弱性の実際の悪用事例を確認後、Known Exploited Vulnerabilities(KEV、悪用が確認されている脆弱性)のカタログに追加しました。 この脆弱性の公開時に標準サポート終了を過ぎていたユーザーにとって、選択肢は2つでした。Ubuntu Proのサブスクリプションでセキュリティパッチを入手するか、開発者の作業環境やCI/CDインフラに既知のリモートコード実行(RCE)脆弱性を抱えたまま […]
Canonical、FIPS対応のKubernetesを公開
FIPS 140-3暗号化とDISA-STIGハードニングを備えた、FedRAMP対応のKubernetesクラスターとアプリケーションスイートを導入しましょう。 本日、KubeConにおいて、Ubuntuを提供するCanonicalは同社のKubernetesディストリビューションでFIPSモードを有効化するためのサポートを公開しました。これにより、高いセキュリティの導入や連邦政府向けの導入に適したスケーラブルなクラスターの構築と管理に必要なすべての要素を提供します。バージョン1.34以降、Canonical Kubernetesは認証済みの暗号モジュールを使用した内蔵FIPS 140-3機能とともに使用できます。このFIPS機能を備えた導入により、snapパッケージと […]