ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違いとは?
by cmoullec on 13 August 2020
ハイブリッドクラウドとマルチクラウドはよく混同されますが、2つは似て非なる言葉です。ハイブリッドクラウドは、既存のパブリッククラウドの1つを使ってプライベートクラウドインフラを拡張するモデルですが、マルチクラウドは、その種類にかかわらず複数のクラウドを同時に使用する環境を意味します。したがってハイブリッドクラウドが具体的な使用事例を指すのに対して、マルチクラウドは一般的な用語であり、現実をより正確に反映しています。
どちらのアーキテクチャも、インフラの観点からは比較的簡単に実装できますが、重要なのはこのような環境におけるワークロードのオーケストレーションです。このブログでは、ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違いについて解説し、Jujuを使用したマルチクラウド環境でのワークロードのオーケストレーションのメリットについて説明します。
ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違いを理解する
たとえば運送会社を経営するとしましょう。この会社は10台の車両を保有しており、通常はこれで十分です。しかし、10台の車両では足りなくなる日もあるでしょう。このように輸送量の多い時期はどうすればよいでしょうか? 追加の車両を購入しますか? いいえ、レンタルするでしょう。外部のサプライヤーから必要に応じて車両を借りることでサービスの提供を続けることができます。ハイブリッドクラウドモデルの働きもこれとほぼ同じです。
ただし、現実は少し違います。まず、企業が1社のサプライヤーだけに頼ることはありません。1社目のサプライヤーがサービスを提供できなくなっても業務を続けられるよう、最低でも2社必要です。さらに、車両はどれもが同じではありません。今までのサプライヤーからは借りられない、非常に大きな車両が必要な場合はどうしますか? たとえ年に1回しかないとしても、別のサプライヤーから借りることになるでしょう。最後に、たとえバスが必要でも、バスを扱った経験がないという理由でバスの保有や保守をためらう場合があります。長期的にはバスを保有したほうがコスト効率が高くなるとしても。
後者のたとえがマルチクラウドモデルであり、現代の企業によく見られます。ハイブリッドクラウドの概念は、コンピューター処理の多い時期にプライベートクラウドの負荷を分散するためのソリューションとして発展してきました。しかし近年、多くの企業が苦労しているのはマルチクラウド環境におけるワークロードのオーケストレーションです。なぜなら、現実に日々利用しているのはハイブリッドクラウドではなくマルチクラウドだからです。
ハイブリッドクラウドとマルチクラウドのアーキテクチャの違い
ハイブリッドクラウドは、プライベートクラウドと利用可能なパブリッククラウドの1つで構成されるITインフラです。双方は恒久的なVPN(仮想プライベートネットワーク)で接続されます。どちらも単一のIdM(アイデンティティ管理)システムと、統一されたLMA(ログ記録、監視、警報)スタックを使用します。それぞれの内部ネットワークも統合されているため、パブリッククラウドは実質的にプライベートクラウドの拡張になります。その結果、双方は単一の環境として動作し、ワークロードの観点からは完全に透過的な環境になります。
このようなアーキテクチャの目的は、プライベートクラウドがワークロードを処理できなくなったときにのみパブリッククラウドを使用することです。プライベートクラウドの方が常に安価なため、オーケストレーションプラットフォームは必ずプライベートクラウドから先にワークロードを開始します。しかし、プライベートクラウドのリソースが枯渇すると、オーケストレーションプラットフォームがワークロードの一部をパブリッククラウドに移し、新しいワークロードを開始するときにはデフォルトでパブリッククラウドを使用します。ピーク期間が終了すると、ワークロードはプライベートクラウドに戻され、再度プライベートクラウドがデフォルトのプラットフォームになります。
一方、マルチクラウドはタイプにかかわらず複数のクラウドを同時に使用することを意味します。専用のインフラストラクチャは存在しません。専用のリンク、単一のIdMシステム、統一LMAスタック、統合ネットワークもありません。単一のクラウドの代わりに、少なくとも2つのクラウドを同時に使用します。
マルチクラウドの目的は、単一のクラウドサービスプロバイダーに依存するリスクを減らすことです。複数のクラウド間にワークロードを分散することで独立性が高まり、ベンダーの囲い込みを避けることができます。さらに、マルチクラウドは一般に地理的に分散した環境なので、アプリケーションの高可用性と、障害に対する復元性を高めることに役立ちます。最後に、マルチクラウドなら、さまざまなクラウドプラットフォームの長所を活用できます。たとえば、データベースをVM(仮想マシン)で実行しながら、フロントエンドアプリケーションをコンテナ内でホストすることができます。したがって、この場合、ワークロードのオーケストレーションが依然として最も重要な課題なのです。
マルチクラウド環境でのワークロードオーケストレーション
マルチクラウド環境でワークロードを実行するには、オーケストレーションのツールが不可欠です。このツールでクラウドリソース(VM、コンテナ、ブロックストレージなど)をプロビジョニングし、その上にアプリケーションを展開・構成し、相互の通信を可能にしなければなりません。たとえば、フロントエンドアプリケーションはデータベースに保管されているデータを使用するため、データベースのIPアドレスを認識する必要があります。さらに、さまざまなタイプのクラウド間にリソースが分散しているため、プラットフォーム全体が基盤に関係なく動作しなければなりません。したがって、プロセス全体は、エンドユーザーの観点から完全に透明である必要があります。
このような機能を提供するツールの1つがJujuです。主要なパブリッククラウドプロバイダーに加えて、プライベートクラウドの実装に使用されるVMware vSphere、OpenStack、Kubernetesなどほぼすべてに対応しています。Jujuを使用して分散アプリケーションのモデル化と展開を行い、マルチクラウドのSaaS(サービスとしてのソフトウェア)体験を提供します。結果として、ユーザーはアプリケーションの作成に専念でき、マルチクラウドの構成の複雑性は完全に抽象化されます。
まとめ
ハイブリッドクラウドとマルチクラウドは一見似ているようにみえますが、2つは異なる概念です。ハイブリッドクラウドがプライベートクラウドの負荷を減らすことを目的としているのにたいして、マルチクラウドは複数のクラウドを同時に使用するときの問題に対処するものです。マルチクラウドの最大の課題はインフラの構成ではなく、ワークロードのオーケストレーションです。JujuはマルチクラウドのSaaS体験を提供することで、この問題を解決します。
詳細情報
Canonicalは、現代のプライベートクラウドインフラを構築するために必要な、すべてのコンポーネントやサービスを提供しています。OpenStack、Kubernetesに加えて、マルチクラウド環境でワークロードをオーケストレーションするソフトウェアであるJujuも提供しています。
詳細については、当社にお問い合わせいただくか、当社のウェビナー「オープンソースインフラ:ベアメタルからマイクロサービスまで」(英語)をご覧ください。
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