エッジコンピューティング:イクロクラウドに関するCTO向けガイド

by Canonical on 14 November 2023

マイクロクラウドで有効なエッジコンピューティング戦略を確立するには

Gartner社では、2025年までにデータの75%が従来のデータセンターやクラウドの外部で処理されるようになると予測しています。競争に打ち勝つためには、技術関連のビジネスリーダーが、エッジコンピューティングに対する自社の戦略を見極める必要があります。

本書では、企業やモバイルサービスプロバイダーが、分散型マイクロクラウド(一般に市販されている3~100台のサーバーで構成されるベアメタルのコンピューティングタクラスター)のデプロイとライフサイクル管理を容易に行い、当初のユースケースで求められる要件だけでなく、再調整や再デプロイなしに将来のユースケースにも容易に対応できるようにするためのポイントを解説します。また、エッジコンピューティングを組織で活用するための戦略の立て方もご紹介します。

エッジの意味は人それぞれ

「エッジ」という言葉は、インフラストラクチャの分野で多用されすぎています。「エッジ」は、組み込み型のシングルボードコンピューターやモノのインターネット(IoT)デバイスから、データセンタークラスの大規模なポイントオブプレゼンス(PoP)クラスターまで、あらゆるものに使用されています。そのため、エッジコンピューティングの戦略を考えるには、まず自身のユースケースを明確にする必要があります。

エッジコンピューティング

基本的にエッジコンピューティングとは、地理的に分散したコンピューティング/インフラストラクチャのリソースプールです。小売店、ガソリンスタンド、小さな支店ごとの多数のクラスターを指すこともあれば、消費者の近くで局所的なコンピューティングアプリケーションを動かすサーバー20台の大規模なサイトのこともあります。エッジコンピューティングは、通信、製造、店舗での顧客体験まで、ほとんどの業界を変革します。同じエッジは2つとありません。事例ごとに戦略も異なります。

その指針として、専門のアナリストは2021年版の「Gartner Predicts」レポートの中で、「単一ベンダーのアプローチではなくエコシステム」を活用するよう企業にアドバイスしています。本書では、ニーズに合ったマイクロクラウドのエコシステムを構築できるよう、多くの点を検討します。

マイクロクラウド

マイクロクラウドは、パブリッククラウドやプライベートクラウドのような大規模な拡張性はないものの、分散型エッジコンピューティング環境ならではのセキュリティ、プライバシー、ガバナンス、低レイテンシを備えています。大規模クラウドのAPIやプリミティブをエッジのスケールで再現し、数千に及ぶエッジサイトで小さなクラスターを複製します。マイクロクラウド戦略は、複雑なネットワーク上で相互に接続された複数のシステムからなるエコシステムの構築を支援します。

主な利点:ビジネスニーズ

エッジというと、日常業務とは無関係な遠い存在のように思われるかもしれませんが、実際には「すべての中心となるのがエッジ」です(Wenjing Chu、LF Edge、2021年3月)。ネットワークのエッジとは、ビジネスを運営し、価値を創造し、ユーザーがデータやサービスを消費する場所です。GVRのアナリストは、2021年の市場分析レポートにおいて、エッジコンピューティングのイノベーションから大きな恩恵を受ける業種として、医療、輸送、防衛、エネルギー、航空、製造、鉱業、石油・ガス、天然資源、通信、電力を挙げています。つまり、現場で大量のデータが生成され、それを処理する業種であれば、エッジコンピューティングのイノベーションから大きな恩恵を受けられるということです。

たとえば通信業界では、地域限定のコンテンツ、ターゲティングサービス、パートナーキャンペーンなどによってモバイルネットワーク事業者が顧客との距離を縮めることができます。ネットワークサービス業者も、局所的なマイクロクラウドのエコシステムで大規模クラウドと競合できます。データの急増が予期される場合、あるいはすでに発生している場合は、接続されているデバイスから膨大な量のデータが生成されても、中央に転送するのではなく、ローカルに保存して分析できるため、帯域幅が節減されます

また、エッジコンピューティングの低レイテンシと拡張性は、小売店や医療施設など、需要が変動する可能性がある環境や、エンドユーザー体験の変革が強く求められる環境にも適しています。

エッジコンピューティングを使用する経済的な理由は明確です。

  • コストの削減:エッジコンピューティングでは、中央のクラウドにデータを転送する広帯域幅の維持にかかるコストが削減されます。また、中央のクラウドストレージのコストも削減することができます。
  • 綿密な管理:分散した相互接続型のエコシステムは、クラウドが停止した場合の復元だけでなく、データガバナンスとコンプライアンスの管理も簡単です。
  • 高価値サービスの創出:低レイテンシのエッジサイトにより、企業はエンドユーザー体験のカスタマイズやローカルデータ(センサーなど)の活用を通じて価値の高い地域限定サービスを提供できます。

本書では、マイクロクラウドで当初のニーズを満たしながら、再調整や再デプロイなしに将来のユースケースに対応する方法を説明します。ダウンロード

MicroCloud datasheet
How-to-guides
ニュースレターのサインアップ

Ubuntuニュースレターの配信登録


お客様が購読登録を行われる場合、以下の条件に同意されたことになります。Canonicalのプライバシーに関するお知らせ個人情報保護ポリシー

関連記事

ワットあたりのトークン数だけではない:Ubuntu 26.04 LTSをAIに利用するメリット

TpW(Tokens per Watt)、つまり消費電力1ワットあたりの生成トークン数は、企業のCEO、AI責任者、インフラストラクチャ担当者が最も重視する指標です。GPUクラスターの運用には莫大なコストがかかるため、投資から可能な限り大きな価値を引き出すことが重要なのです。 しかしTpWを追求する際には、データセンターの運用コストやAIの成果(収益につながる)を左右するのがハードウェア効率だけではないことを考慮する必要があります。TpWは重要な指標ですが、価値を得るまでの時間を短縮し、人間の生産性を高めることも重要です。そしてこれらは主にソフトウェアによって決まります。 Canonicalは、Ubuntuを効率的なAIの基盤となるソフトウェアにしたいと考えています。この […]

Ubuntu Proとは?

Ubuntu Proは、オープンソースのセキュリティ、サポート、コンプライアンスに対応したCanonicalの包括的なサブスクリプションです。ここでは、15年間のセキュリティメンテナンス、24時間サポート、自動堅牢化ツールなど、Ubuntu ProサブスクリプションがIT管理者に提供するメリットの数々をご紹介します。 Ubuntu Proのメリットは? Ubuntu Proは、セキュリティとコンプライアンスを目的としたサブスクリプションであり、オペレーティングシステム、アプリケーションなど、IT環境の各レイヤーに対応するパッチやセキュリティメンテナンスを速やかに提供します。これにより企業やそのエンジニアは、ソフトウェアやシステムのセキュリティを強化し、堅牢化ツール、自動化 […]

Ubuntu 16.04 LTSのUbuntu Pro標準Expanded Security Maintenanceが終了。この後はどうする?

Ubuntu 16.04 LTS(Xenial Xerus)の5年間のExpanded Security Maintenance(ESM)が2026年4月に終了しました。16.04をまだお使いのお客様は、引き続きセキュリティとコンプライアンスを保つため、必ずサポートステータスを更新してください。 サポートのオプション これで16.04はレガシー段階に入りました。選択肢は主に2つです: レガシーアドオンとは レガシーアドオンとは、最初の10年間のライフサイクルを完了したLTSリリースに特化した拡張機能です。レガシーアドオンは、Linuxカーネル、重要なインフラストラクチャ、および数千ものオープンソースパッケージ用のセキュリティパッチを、ESMライフサイクルがすでに完了したL […]